第43回 サンコウチョウ 遥か東南アジアから「灘の一つ火」」をめざして

文:那波 昌彦(環境カウンセラー)  画:寺西 靖(れいんぼう・T)

阪急神戸線岡本駅から登り坂を15分、山の中腹に保久良神社があります。ここの境内はヤマモモの大木で鬱蒼としており、昼でも暗い神社林です。戦後、鎮 守の森は急速に減少しており、多くは駐車場や宅地化しています。ここに毎年、初夏にサンコウチョウが巣を作りヒナを育てています。サンコウチョウは東南ア ジアから遥々やってくる夏鳥で、オスは長い尾羽をヒラヒラと風になびかせて飛ぶのと、くちばしと眼の周りの鮮やかなコバルト色で人気があります。名前の由 来は「ツキ・ヒ・ホシ(月・日・星) ホイホイホイ」と鳴くので、「三光鳥」と名づけられています。
女子大生人気の岡本にふさわしく綺麗で優雅なサンコウチョウは、いつからやってきているのだろうか?おそらく太古の昔から六甲山には来ていたのだろう が、岡本に落ち着くようになったのは、保久良神社に常夜灯が置かれて以来と考えるのはどうだろうか? この神社には江戸時代から瀬戸内を行く船の夜の航海 の目印として常夜灯が置かれてきました。夜の瀬戸内を行く北前船等が目印としたように、夜間に渡ってくるエレガントなサンコウチョウも、「灘の一つ火」を 頼りにして今もこの地にやってくると思うのは、おしゃれな岡本の街にふさわしいと思いませんか。

「増えるカラスと激しいバトル」
現実にはサンコウチョウの子育ては厳しいものがあります。毎年カラスやイタチ等に卵やヒナを襲われて、巣を放棄しています。昨年は3回巣を放棄して、4 度目にやっと2羽の巣立ちができました。カラスが増えるのはゴミの処理が完全でないからだといわれています。東京都も銀座のカラスで困っていましたが、ゴ ミ処理のやり方を変え、一部のカラスを駆逐する対策をとることにより、カラスはこれまでの3分の1に減っています。生物同士の適度な数を維持することは「生物の多様性」を保つことになります。今年も既に声を聞かれた人がいます。そっと遠くから子育てを見守りましょう。 (題字 岸本敬子)

「灘の一つ火」
この火の由来は神話の時代までさかのぼるようですが、今の灯篭は文政八年(1825年)に建立されたもので、地元の北畑村の人々が毎夜交代で油を注いで火を灯らせ続けましたが、今は電灯になっています。  「六甲・まや101の疑問」 (神戸新聞出版)

megumi43サンコウチョウ 三光鳥 スズメ目ヒタキ科 全長オス約45cm メス約17.5cm
日本、台湾、フィリピンで繁殖し、中国南部やスマトラ島で越冬する。日本には夏鳥として本州以南に渡来し、平地から低山の林で棲息し、飛んでいる昆虫を捕食する。
細い枝に円錐形の巣を作り、3~5個の卵を産む。静岡県の県鳥で、サッカーのジユビロ磐田(静岡)のエンブレムにその姿がある。英名でJAPANESE PARADISE FLY-CATCHER ともいう。