第45回 平成20年の年木 ネズミモチとトウネズミモチ

文・写真:田中 義則(森林インストラクター)

イノシシからネズミにバトンタッチするのもあとわずかの日数を残すまでになりました。来年は子年。ネズミと名がついている身近な木にネズミモチとトウネズミモチがよく見られます。
ネズミモチは、関東以西の暖地の山地に生える5mほどの常緑小高木です。モクセイ科で、6月頃枝の先に円錐状の花序を付け、白い花を咲かせ、秋には 1cm弱の楕円形で紫黒色のネズミの糞そっくりの果実を付けます。また、モチノキに似ているのでネズミモチの名が付いています。他にも実の形からネズミ ギ、ネズミノフン、葉の形や色からタマツバキ、テラツバキ、葉をもむと甘い香りがすることからサトウギなど、いろいろな名前で呼ばれています。常緑であま り大きな木にならず、刈り込みに強いため、古くから庭木や垣根などにも植えられてきました。
近年、市街地でネズミモチによく似たトウネズミモチが多く見られるようになりました。この2種はとてもよく似ており、時に混同されていることがあります。
トウネズミモチは中国原産で、明治時代に渡来し、成長が早く、塩害や大気汚染にも強く、葉も美しいので公園や工場に植えられました。
トウネズミモチは、ネズミモチに比べて全体に大柄で高さ15mほどになり、葉も一回り大きく、先が細くとがり、葉の基部のほうが一番広くなっています。花も倍近く大きく、ネズミモチより1ヶ月ほど遅く、多くの花が付きます。

megumi45 また、果実も丸味を帯び、ネズミの糞にはあまり似てないなど、相違点は多くありますが、一番ハッキリした相違点は、葉を陽にかざして見ると葉脈が透けて見えることです。
中国ではトウネズミモチを女貞と呼び、果実を強壮薬に、葉を腫れ物の薬に、枝についたイボタロウムシのロウは家具をみがくワックスなどに使い、これらを採るため栽培もしていたようです。ネズミモチにも同じような薬効があるようです。
ますます寒くなると赤い実が少なくなり、市街地に植えられたトウネズミモチなどの実はヒヨドリなどの格好な餌となるでしょう。
鳥の餌になるのは一向にかまわないのですが、里山などで糞をし、発芽することから、トウネズミモチが多くの里山で見られるようになり、森林の生態系が変わっていくのではないかと心配しています。