第47回 葉っぱを守る二重の備え アカメガシワ

文:山下広行(森林インストラクター) 画:岸本文枝(ひょうご森のインストラクター)

 先日でかけた活動地で、昨年整備したという山道の両脇にアカメガシワがたくさん芽を出しているのを見ました。山道を整備するのに合わせて周辺の樹を伐ったことから陽が当たるようになり、長いあいだ眠っていた種が一斉に発芽したのでしょう。
 アカメガシワは典型的な陽樹-明るいところを好む樹で、暗い森に落ちた種は発芽せず、周辺が明るくなるのを待って発芽します。種子の寿命は100年以上もあると聞きます。また、このことから山崩れなどによる更地に真っ先入ってくる樹の一つであり、街の中の空き地の周辺などでもよく見かけます。
 アカメガシワという名前からすると、その樹をよく知らない方の中には柏餅のカシワの仲間と思われる方もあるかもしれませんが、アカメガシワはブナ科のカシワとは違ってトウダイグサ科という耳慣れない科に分類されています。葉っぱの形を見ればカシワの仲間ではないことは判りますし、また花や実を見てもその違いは明らかです(ドングリは生りません)。
 カシワという名前は「炊ぎ葉(かしぎは)」からきたと、よく聞きます。「炊ぐ」と云う言葉は最近では使われることはありませんが、その字から炊事-食べ物の煮炊きに関係することは判ると思います。つまり、昔食べ物を盛る器として用いられていた大きな葉っぱはカシワと呼ばれていたということであり、やはり 大きな葉っぱであるホウの葉っぱをホウガシワと呼ぶ地域もあるようです。
megumi47 アカメガシワの葉っぱも大きなものは大人の手のひらを広げたほどはあり、昔であれば食べ物を盛っていただろうことは想像できます。ゴサイバ(御(五)菜葉)とかサイモリバ(菜盛葉)などの別名があるのもそのことからです。
 ところで、アカメガシワの“アカメ”とは赤芽であることは、新芽や若葉を見ればわかります。特に春の新芽は真紅のものもあり、クリスマスにおなじみのポインセチアを思わせます。そう言えばポインセチアも同じトウダイグサ科です。
 この赤色は葉っぱそのものの色ではなく葉っぱに生える毛の色であり、葉が成長するに従って毛が落ちて次第に地の緑色が出てきます。新芽や若葉のときにだけある毛は、他のいくつかの植物と同じように、柔らかい葉っぱを毛虫などの食害から守るためだろうと思いますが、赤い色もそれに関係しているのかはわかりません。
 虫から葉っぱを守ると言えば、アカメガシワの葉っぱの付け根には蜜腺がありますが、これはアリを呼び寄せて、やはり毛虫などから葉っぱを守るためだと言われています。今度アカメガシワを見たら、葉っぱにアリがいるかどうかも見て下さい。
 このような植物が生きていくための工夫やほかの生き物との関係を知ると、簡単に伐ることがためらわれてしまいます。