第48回 アミタイツのレディ セイタカイグチ

文・写真:辰己 正美(森林インストラクター)

前回紹介した「兵庫のキノコ」(兵庫きのこ研究会編著、神戸新聞総合出版センター)、取り上げているキノコの数が限られた入門書であるが、内容はなかなか のもの。最近、すずなりのキクラゲを街中の神社で見つけたが、これまではキクラゲは高い山でしか目にしないものと思いがあり、実際中華料理でおなじみのア ラゲキクラゲとの付き合いばかりであったので、キクラゲのことをすっかり失念していた。「色が茶色で、身が薄っぺらい。なんだこのアラゲキクラゲ (・・・・・・)は変だなぁ」という印象。恥ずかしいが、思い込みというのは恐ろしい。で、この本では「兵庫では低地でも両方発生する」との記述である。 すごいですね。ちなみにそのポイントでは両方が発生していて、梅雨時の雨あがりのたびに楽しませてもらった。でも、慣れというのは恐ろしいもので、より高 級だとされているキクラゲよりコリコリとした食感のアラゲキクラゲが断然うまいと思う。湯がいて適当な大きさに切って生姜醤油でなんて最高のつまみだ。
さて、今回のキノコ、セイタカイグチについて、この本では、「頭が白いので森の中でもよく目立つ。また、赤っぽい柄に白い網タイツを履いているので一度 覚えると忘れることはない。つい最近まで食用キノコと紹介されていたが、胃腸系の中毒例が報告されたらしい。ただ、私の周りで中毒したと聞かない。自己責 任の範囲で楽しむのは自由だが、読者の方は食するべからず。」とのユーモアたっぷりのコメント。このキノコの解説を担当しているSさんの人柄が出ていてと ても面白い。
姿・味ともにすぐれた7月下旬から9月中旬に見られるキノコで、傘の裏が管孔のイグチの仲間である。白い傘と目立つ網目の入った赤茶色の柄、すらっとした姿形に、私は「アミタイツのレディ」と呼んでいるのだが。
このキノコもこれまで食用とされていたのに、中毒に要注意となってしまった。多少のヌメリがあり、歯ごたえのよいキノコなので、私はこれからも「自己責任で」決してこのレディを見逃さないつもりだ。

megumi48 最近の新しい図鑑では、「人によっては要注意」という表現が目立ってきている。Sさんもこのことについて別のページで触れており、「アウトドアブームで (いろんな体質の)初心者が野生のキノコを食べる機会が多くなってきたことで、キノコ中毒は増えるかもしれません」と。Sさんは、同じ箇所で、毒キノコの 解説表現を用いてスーパーに並ぶ食品を説明している。これがとても傑作で面白い、是非現物を一読あれ!
このように食毒うんぬんされているキノコも多いが、少なくとも私自身は、皆が食べているキノコで中毒することがない体質だと信じ込んでいる。いかがなものでしょうか。