第50回 春にもキノコ ハルシメジ

文・写真:辰己 正美(森林インストラクター)

春のキノコとなると、発生時期の順にアミガサタケ、ハルシメジ、キクラゲといったところでしょうか。時期に合わせてアミガサタケの紹介といきたいところですが、アミガサタケはもちろんその仲間たちにもとんと出会う機会がない。ある人から、京都御所でポイントを知っているが、教えられないなあと。また別の人からは、岡田山の大学の研究室の裏で先生が採っているなどの情報が。今年こそはといつも思っているが、何故か出会えない。ヨーロッパでは春の使者モリ-ユと呼ばれるキノコ、是非一度食してみたいものである。

さて、ハルシメジ。ウメやモモなどバラ科の木と共生関係のあるキノコで、「北陸のきのこ図鑑」では、Aタイプと、少し小ぶりのBタイプ(傘の色が濃い)を区別している。実際には他にもいくつかのタイプがあるという。私がポイントとしている六甲山と市街地の梅林の2箇所では、発生時期は5月上旬前後であるが、もっと幅があるのかもしれない。

毎年、観梅の時期に各地の梅林の名所が紹介されるので、ハルシメジの発生時期に各地に行ってみようかとも思うがなかなか機会がない。何年か前の5月、弓道の全国大会に参加した時に京都御所内の弓道場の前に小さな梅林があることに気づき、ハルシメジを探してみたら、少しだが見つけたことがある。ただ、梅林のハルシメジ、食べる場合は農薬が散布されているかどうかの確認がいる。

キノコの発生時期には、他の植物の開花時期等 が目安になることがある。よく言われるのが、キンモクセイの香りがしだすとマツタケの出だす時期。ハルシメジでは、ツツジやニセアカシアの花が満開になる 頃と私のポイントでは認識しているが、年によって少しズレがあるように思う。大抵5月の連休頃と期待して出かけるのだが、周りの指標となる植物(ツツジ、ニセアカシア、ハルジオン)の開花の様子からまだ早かったかと思い知らされる場面が多々ある。

秋になるとウラベニホテイシメジと間違えて、毒キノコのクサウラベニタケを食べてしまう中毒

megumi50事件が毎年のように報道されるが、ハルシメジはこのクサウラベニタケに似ていると私は思う。もしハルシメジが秋に姿を見せるようだと、きっと簡単には手出しは出来ないだろう。(いや、顕微鏡で胞子や菌糸の形態を確認したりしてから恐る恐る料理するのかも。)

このハルシメジを行きつけの飲み屋に持って行くと、「春にもキノコが採れるの?」といいながらママさんはさっと天ぷらにして、居合わせている客たちに振舞ってくれる。私は絶対の自信があるが、あまりの信頼に、怖くないのかなぁとこちらが心配してしまう次第である。