第52回 とてもめだつアカヤマドリとアンズタケ

文・写真:辰己 正美(森林インストラクター)

今年の梅雨明けは観測史上最も遅く、梅雨明け宣言後も降雨が多かったせいで、梅雨の後半になって夏のキノコにはとても恵まれることとなった。それと観察場所によってキノコの種類と発生状況が大きく違うことにも思い知らされた。
私の行動範囲では、箕面では行くたびにアカヤマドリやヤマドリタケモドキなどのイグチの仲間の大収穫。収穫したあとの二日後には、同じ場所でまた大発生という状況も経験してたまげたものだ。
梅雨の終わり頃に発生する夏キノコ、真夏はお休みで、秋口に同じ種類のキノコが再び発生しだす。ということで、今年の秋口にもイグチ類の大発生が期待できるのだろうか。とても美味しいというムラサキヤマドリタケにも是非出会ってみたいものだ。

さてアカヤマドリ、黄色の大きな帽子のようなキノコ、森を歩いていてとても目立つ。一つ見つけると近くにかわいい幼菌も必ずと言っていいほど発生している。このキノコ、ヤマドリタケモドキほどキノコバエのウジの食害にはあっていないようで利用しやすいと思う。
最初の頃はその大きさと黄色の色素に戸惑い気味であったが、たくさん採れた
今年はずいぶんいろんな料理に利用させてもらい、今では慣れ親しんで美味しく感じられるようになってきて、妻も瓶詰めにしたものを戸惑うことなく何にでも利用している。私は、生の状態であれば、管孔のついたカサをフライにしたものが好きだ。
もう一つ目立ったのがアンズタケとその仲間のベニウスタケ。これらはどの場所でも大発生で、もう要らないやというほどの経験は初めてのことであり、車で山道を走っていても目につくほどである。
このアンズタケ、最近の研究で微量の毒成分が見つかったようで、要注意(「兵庫のキノコ」)とされるようになっているので、食べすぎには注意は必要であろう。

たくさん採れた箕面でのこと、採取中に山道である若い男性の外国人と出会い、その方が 私のかごを覗き込み、「おお、ジロール(アンズタケのこと)」と声を上げたのをきっかけに会話が弾んだ。日本語の達者なフランス人で、フランスの母親は近所の人と一緒にキノコ採りによく山に入っているらしい。
「アナタは一人でたくさん採れていいですね」と言われ、「たいていの日本人は毒キノコを恐れて、あまりキノコを身近に感じていないのですよ」と返した。そのフランス人、これはヤマドリタケモドキとは違うのではと疑問を感じてそばに発生しているキノコにカメラを向けていると、今度は「おお、セップ(仏)、ポルチーニ(伊)※欧米で好まれるヤマドリタケのこと」とおっしゃる。これは詳しいやと参ったものだ。