第54回 春の訪れとツバキキンカクチャワンタケ

megumi541 この時期のキノコの原稿依頼にははたと困ってしまう。昨年の秋は、キノコはとんでもなく不作で、ずいぶんがっかりしたので余計に駄目だ。梅雨の終わりの 時期が長く、夏キノコはとてもよく採れたのに。秋は雨不足だったのかと思っていたが、他の人の情報では日照も不足がちだったと。今年はさらに多くの森のめ ぐみの一つであるキノコの収穫を期待したいところだ。
 さて、春のキノコの一つツバキキンカクチャワンタケ、長い名前のキノコである。3月から4月にかけての早春に、ヤブツバキの林で発生する。
 キンカクキン科のキノコで、 前年のツバキの落花に菌核が作られ、そこからツバキの花が咲く頃にキノコが発生する。小さくて茶色の地味なキノコだから、緑の葉の上に載せないと写真写りは目立たなくなってしまう。もちろん食べる人もいないだろう。

megumi542 このキノコ、落葉がたっぷりと積もっているような環境に発生するので、ヤブツバキの花がきれいに取り除かれているような場所では見かけられず、手入れさ れず放置されているようなところがいい色が落ち葉と同じなので、地面をじっと眺めていてもなかなか見つけるのは困難だが、簡単な方法がある。落ち葉をゆっ くりと掻き分けてみると、このキノコが発生している場所では、タバコの煙のような、細い一筋の煙が舞い上がるのだ。このキノコの胞子が舞い上がっているの だ。そして、煙が舞い上がったあたりを再び注視すると容易に見つかるのである。
 この春、ヤブツバキの花を楽しみながら、このキノコにもめぐり合うのはいかがでしょうか。