第56回 やはりイグチの仲間がいいや アメリカウラベニイロガワリなど

文・写真:辰己 正美(森林インストラクター)

今年の夏のキノコでは余りいい出会いがなかった。いよいよ秋を迎えるが、猛暑が続いた今年は秋でもキノコの発生は良くないかもしれない。
毎年、兵庫のキノコグループで8、9月頃に1泊2日の観察会が実施されていて、今年は8月上旬に鳥取まで出かけたのだが、採取したキノコの種類はとても少なかった。
食べることに関心がある私、メンバーからいろいろとキノコの食情報をいただいているが、概して皆さんあまり食べていないような気がする。
megumi561 今回の写真は、梅雨の終わり頃と初秋に出るアメリカウラベニイロガワリというイグチだが、このキノコについても、美味しいらしいというだけで食べたと言う人は少ない。
私は以前、腕のいい料理人がいる居酒屋にキノコをいろいろと持ち込んで料理してもらったことがあるが、このキノコはとても素敵な一品になったものだ。
それ以来、このキノコに出会うと飛び上がらんばかりに嬉しくなるのだが、今回湯がいて瓶に保存していたところ、たっぷりとヌメリが出ていたのには驚いた。そして、とても美味しく頂いた。でも、こんな話はどこにも記載されていない。
このキノコ、裏側の管口部分がこのようにとても赤く、キノコ全体がどの部分でも傷つくとあっという間に濃い青色に変化する。したがって、水で洗ったりしていると青インクを流したような状態になる。ある意味、非常に判りやすいキノコなのだ。
それから、同じ頃たくさん採れるダイダイイグチ、これもイグチの仲間で弾力のある歯ごたえが良くてなかなか美味しいキノコなのだが、食べたと言う情報を得ていない。もちろん、図鑑では可食となっているが、美味しいのかどうかまでの記載はほとんどないのだ。このキノコのほうは黄色い色がたっぷりと出るので、カレーやスパゲッティにお勧めだ。
megumi562 これまで美味しいとされていたキノコに毒成分が見つかったりするキノコの世界、まだまだ判っていないことが多すぎるのだ。逆に身体にいい成分も多いと信じて、私はいろいろと食べているのだが。
次の写真は、この夏のある日の私の食卓。
2種類のキノコを刺身風で頂いた。右側の濃い黄色のキノコがダイダイイグチ。左側が以前にこのコーナーに登場したヤマドリタケモドキの幼菌。どちらもとても美味しいキノコなのです。
ある関西で有名なキノコの会を代表する先生、野生キノコは絶対に食べないと人から聞いていて、どうしてなのかなと思っていたが、今回の観察会でこのことを話題にした時、あの先生自分では車は運転しないし、飛行機には絶対乗らないよと。用心深いのはキノコだけではないのかとようやく納得したものだ。