第57回 お正月の縁起物「橙」、「無患子」

文・画:池上 由紀子

◆橙「ダイダイ」 お正月のお飾りの一つにお鏡餅がありますね。 お鏡の上に乗っている果実ダイダイ。(今では大きなお鏡を飾らない家も多く、ゆずやみかんにかわっているかも。)寒さ暑さに強く多雨にも耐える。初夏に白い小花をつけて冬に実が熟す。実は冬を過ぎても落ちることなく、又翌年に緑色に戻る。同じ事を2~3年繰り返す。 年を越しても実が同じ樹に有り、新旧健在だとのことで(代々)と呼ばれ「代々栄える」という縁起物としてお正月飾りに使われているそうです。 原産はインド又はヒマラヤ地方で、西に伝わったのが英語名のサワーオレンジ、中国を経て日本に渡って来たのがダイダイになったとか。記紀に登場する最初の柑橘類がダイダイと云われています。 尚、「だいだい」は中世以降の呼称で、それ以前は「阿部橘、安倍橘(アベタチバナ、アヘタチバナ)と呼ばれた。又、漢字では、「臭橙」や「回青橙」と表 記されることもある。「臭橙」の「臭」は風味の良さ(匂い)を表したもので「くさい」ということではない。「回青橙」は、冬に黄熟した果実が再び青緑色に なることからである。

◆ムクロジ(無患子) 赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月。その際に女の子に贈ってお祝いする羽子板。病気を運ぶ蚊を食べるトンボにこの羽根の形が似ているので、蚊に刺されないようにという厄除けの意味が込められているそうです。 「無患子」という漢字を分解すると、無・・無い、患・・患う(わずらう)、子・・子供、つまり子供が患わないという思いが込められているそうです。 羽子板に必要なこの羽根の玉。この黒い玉がムクロジの木の実の種です。 megumi57 木は、ムクロジ科の落葉高木。本州中部以西の山地に自生し、高さ15メートル以上になる。実は、球形で黄褐色に熟し、中の種子は黒色で堅い。果肉は石鹸 の無い時代に洗濯や洗髪に使われていたそうで、果肉の外皮にサポニンと云う成分が含まれ、それが転じてシャボンと呼ばれるようになった。この樹は今は古い 神社やお寺の境内でしかあまり見られません。かつては川の岸辺に植えられていて、手じかにこの実をすりつぶして使っていたそうです。 こんな自然の植物を利用していたら環境汚染は起こらないかも。ただし落ち具合いは不明。