第63回 姿も生き方もユニーク ウラシマソウ

文・写真:森 逸男

みなさんは「ウラシマソウ」という植物をご存知でしょうか?なかなかユニークな植物なので、紹介したいと思います。

   ウラシマソウ - サトイモ科 テンナンショウ属  学名: Arisaema urashima

ウラシマソウは、私がリーダーをしている神戸市・太子の森活動地にたくさん生えているサトイモ科の植物で、ミズバショウやザゼンソウ、マムシグサなどと 同じ仲間です。サトイモ科なので地下茎(芋)を持つ多年草で、年々地下茎が大きくなるにつれて株も大きく成長します。

 花は1株に1個だけ咲きますが花びらはなく、「肉穂花序」という形態で「仏炎苞」という筒状の苞に包まれています。葉も1株に1枚だけで、ヤツデのよう に10~17枚ほどの鳥足状の小葉に別れています。花は、葉の下に隠れるように付き、肉穂花序から細長いヒゲ状の付属体が伸びるのが特徴で、その付属体の 形が「浦島太郎」の釣り糸に似ていることから「ウラシマソウ(浦島草)」の名前が付けられたとされます。この細長いヒゲ(付属体)を伝って仏炎苞に入ってくる虫によって受粉するそうです。

  ウラシマソウがユニークなのは、その姿だけでなく成長するにつれて「性転換」することです。花は、4月から5月にかけて咲きますが、雄花と雌花があります。発芽してすぐの小さい株には花は咲きません。数年たって株がある程度大きくなると花を付け始めますが、最初は雄花だけが咲きます。さらに数年たって、 もっと株が大きくなると今度は雌花をつけるようになります。つまり最初は中性、少し成長すると雄、さらに成長すると雌になるのです。この特徴は、テンナン ショウ属に共通とのことです。

 受粉した雌花には、トウモロコシを小さくしたような実ができます。この実は、秋になると赤く熟して種を落とします。一般的に赤い実は、小鳥などの餌に なって種を運んでもらうのですが、ウラシマソウの実は有毒なので、株の周りの狭い範囲に種が落ちるだけです。このため、時にたくさんの株がひしめくように 群落を作ります。太子の森には、このようなウラシマソウの群落がいくつか見られます。

 今年は、4月の活動日に参加メンバーと観察会を開いて、ユニークな姿を楽しみました。皆さんも、太子の森に来てウラシマソウに会ってみませんか。