第76回 里山の小さなハンター「モズ」

文/写真:森 逸男

 これから秋の気配が深まるとともに、里山周辺などでモズが高鳴きをする声を聞くことが多くなり、秋の風物詩のひとつになっています。このモズも、日本の里山を代表する野鳥のひとつです。今回は、そのモズについてご紹介します。

モズ - スズメ目モズ科 留鳥/漂鳥  学名:Lanius bucephalus

 モズは、北海道から九州までほぼ日本全国に生息する野鳥です。大きさは約20cmで、スズメより一回り大きく、オスは全体に明るい茶色で、背中が灰色、翼は黒く白い斑点があり、顔には目を通る太い黒線があります(写真-1)。メスは目を通る線が褐色で、背中は灰色、腹部は明るい茶色にうろこ状の模様があります(写真-2)。

 モズが秋に、高い木の梢などで「キィ、キィ、キィ、ギュッ、ギュッ」と高鳴きをするのは、冬を前に自分の餌場の縄張りを宣言するためのもので、オスもメスも一羽ずつ別々の縄張りを持ちます。食性は肉食でカエルやトカゲ、小魚、バッタ類などの昆虫、時には小鳥まで捕えるハンターです。嘴も他の小型の野鳥より太く、タカやワシなどの猛禽類のように先が下に曲がって、肉食に適しています。

 秋になると、モズの独特の習性として獲物を尖った小枝などに刺す「はやにえ」をすることが多くなります(写真-3)。この「はやにえ」は、冬場の餌が乏しくなるときに備えた保存食とか、モズは餌を足でつかんで食べることができないので小枝などに刺して食べやすくするため、などと色々な説が考えられていますが、本当はどうなのかまだ明確にはなっていないようです。雪国では、「はやにえ」が刺される高さが、その年の積雪の高さになるという言い伝えもあるようです。

 モズは漢字で「百舌鳥」と書きます。モズは「高鳴き」以外に他の野鳥の声を真似て色々な鳴き声をすることがあることから、「百舌鳥」の漢字が当てられたようです。ちなみに、お隣の大阪府の府鳥はモズで、府の公式マスコットキャラクターは「モズやん」といい、この野鳥のモズをもとにデザインされたユルキャラになっています。

 秋の「高鳴き」が目立つので冬鳥のように思われますが、気を付けていると一年中姿を見ることができます。森の倶楽部の活動地でも目にする機会が多いと思いますので、観察してみてください。

写真-1:モズ(オス)

写真-1:モズ(オス)

 
写真-2:モズ(メス)

写真-2:モズ(メス)

 
写真-3:モズの「はやにえ」の一例

写真-3:モズの「はやにえ」の一例

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