第88回 小さなキツツキ「コゲラ」

  文・写真 森 逸男 (会員)

 野鳥の中で、木の幹や太い枝などをつつくユニークな行動をするのが「キツツキ」のなかまです。今回は、日本に棲息するキツツキの中で一番小さな「コゲラ」を紹介します。

コゲラ:キツツキ目キツツキ科(留鳥) 学名:Dendropos kizuki

 里山や樹木の多い公園などで、「ギー、ギー」という声が聞こえることがあります。声の方向を見ると、木の幹や枝などに背中が黒褐色と白の縞模様をした野鳥が見つかります。それがコゲラです。
 体長は15cmほどで、スズメくらいの大きさです。外観上、オスとメスの違いはほとんどありません。本当は、オスには後頭部の左右に赤い斑紋があるのですが、普通は頭の羽毛で隠れて見えません。
 コゲラは、もともとは平地から山地の森林に棲んでいたのですが、近年は都市部の公園などでも繁殖をするようになってきています。繁殖をするために、枯れた木の幹や太い枝を嘴で突いて巣穴を掘ります。
 巣穴は、まず外側から直径3~4cmほどの横穴を掘り、木の中で縦穴を掘って作ります。巣穴はコゲラの体がすっぽり入るほどの大きさです。
 キツツキのなかまが木をつつく理由は、いくつかあります。まず、前述のとおり巣穴を掘るためです。また、餌になる虫が木

 

の表皮の隙間や裏側などに潜んでいるのを見つけ出して捕食するためです。それから、「ドラミング」と言われる大きな打音を出して、縄張り宣言や繁殖相手のメスに存在をアピールすることもあります。
生息域は、北海道から沖縄まで日本全国に広がっています。日本では、木立の多いところで普通に見られるおなじみの野鳥ですが、世界では東北アジアのごく一部にしか住んでいない貴重な野鳥です。
ちなみに、キツツキのなかまはアカゲラとかアオゲラ、クマゲラなど、名前に「ゲラ」がつきます。この「ゲラ」は、キツツキの古い呼び名「ケラツツキ」に由来します。「ケラ」は「虫」のことで、虫をつつく習性がその語源とされています(諸説あるようですが)。
比較的小さな野鳥のため気付きにくいのですが、「ギー、ギー」という鳴き声を聞いたら、その方向を観察してみてください。白黒のボーダー柄の上着を着たコゲラを見つけることができると思います。